最近のATPと植物と微生物と土のこと

水稲種子には、多くの窒素固定細菌が共生している。それらが、苗の生育過程で葉利根に移行・増加して、窒素固定を行い、苗の成長に関与している可能性が高い。
http://www.microbial-ecology.jp/meeting/JSME2016/pdf/P-215.pdf
まだ論文になっていないほやほやのお話を伺った。2016.10土壌微生物学会 in 横須賀。
発芽初期には働いていない可能性が高い。なんでだろ?ある程度の環境が必要で、まずは籾が自力で発芽してみせて、そしたら、「じゃあ俺らも働くか。」と窒素固定細菌が働き始める?
次世代シーケンサーの登場で、土丸ごと中の塩基配列の解読が可能となり、植物と微生物の関係が明らかになってくる。

水田で優先的に存在している鉄還元菌が、実は窒素固定をして水田の窒素肥沃度の維持に大きく関与している可能性が示されたり。
http://www.microbial-ecology.jp/meeting/JSME2016/pdf/P-132.pdf

一方、植物共生菌には仲良し菌グループが存在し、抗生物質を出して外敵から防御している状態と思われる群体から、栄養集めに熱心になっている群体の状態があることが考えられている。逆にいうと仲の良くない菌グループが存在し、菌グループの状態がAからBなどに移行するとき何が起こっているのだろう。AからBへの移行に中心的に働く菌、間を取り持つ菌の存在も興味深い。雨による窒息だったり、環境の変化だったり、温度の変化だったり?・・・
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2015/160309_1.html

白菜のATP
土壌微生物量と土壌ATP量の相関が示されて、僕は畑の土のATP量を計っている。
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010813761.pdf
安いのだ。1検体200円で、土を機械にかけて10秒で結果が出る。土壌微生物量が多い場合にはATPの数値は高く出る。土の豊かさの指標となり得る。土を次世代シーケンサーにかけて解析まで行うと30万円+50万円=80万円。この位かかる。しっかり調べると80万円かかるところをざっくり200円で調べちゃおう。しかし、これはざっくり。欠点は、腐敗菌が多くてもATPの数値は高く出ること。この機械は、菌の種類の判別はできないのだ。そこでもう1つの指標が必要になってくる。今は腐敗の指標を探し出そうと畑の土で実験している。

生命力の旺盛な白菜の根の周りの土のATP量は多いが、それにも増して、アブラムシにたかられた生命力の弱い白菜の根の周りの土のATP量は、多い。腐敗に導く菌群がおそらく多いのだ。水分も多い。窒息と腐敗とATPと。
この違いの指標となる腐敗系の要素が簡単に検出できないか。それができたら、調和のとれた生命力の強い土壌が出来上がったか、まだ途中なのか、判断する指標となることを期待している。
「この土の肥沃土は、なんだかわからないけどいいね。」というおまじないの時代から、科学で説得できる時代になろうとしていることを感じてワクワクしています。


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